不登校からひきこもりになった息子はうつ病と診断

まじめな性格の長男は、その後も無理をして中学校へ登校していました。しかし、だんだん学校を休みがちになり、とうとう登校することができなくなってしまったのです。それ以降、中学校に登校することはなく、卒業式にも出席することができませんでした。中学卒業後は通信制の高校に進学しましたが、長続きせず1年で辞めてしまいました。

布団が乱れたベッド
写真=iStock.com/VTT Studio
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母親は「離婚により長男にショックを与えてしまったのではないか?」という負い目もあり、高校に再度転入するよう促すことはせず、家の中で静かに過ごしている長男に苦言を呈することもしませんでした。

長男は高校を退学した後も小児科の受診を続けていました。しかし、長男が18歳になると年齢制限によりその小児科を受診することができなくなってしまうことが判明。そこで小児科に紹介状を書いてもらい、近所の心療内科へ転院することにしました。診療内科を受診した長男はうつ病と診断され、通院治療を開始することに。その後、月に1回程度の通院治療を続けてきましたが、うつ病が改善することはありませんでした。むしろ「徐々に悪化しているのではないか?」と母親は感じているそうです。

そこまでお話を伺った筆者は、次のような提案をしてみました。

「ご長男はうつ病により働くことが難しいようなので、障害年金の請求を検討してみるとよいかもしれません。ちなみに、ご長男は今まで障害年金の請求をすることはなかったのでしょうか?」

「請求はしていません。以前、長男はインターネットでいろいろと調べていたようですが、制度や手続きが複雑すぎて何から始めたらよいのかが分からず、諦めてしまったようです」

「なるほど。仮にご長男が障害年金を受給できるようであれば、万が一の場合はご長男の障害年金を生活費に充てていく方法も取れます。請求してみる価値はありそうですね」

「もし障害年金がもらえるとしたら、一体いくらになるのでしょうか?」

「ご長男は、障害の原因となった病気で初めて病院を受診した日は中学生の頃なので、障害基礎年金を請求することになります。障害基礎年金には1級と2級があります。1級の方がより障害の程度が重く、年金額も高くなっています。仮に障害基礎年金の2級に該当した場合、金額は次のようになります」

障害基礎年金(2級) 約6万4800円
障害年金生活者支援給付金 約5000円
合計 6万9800円

「月額で約7万円の収入になりますから、お母様のパート収入が減ってしまった分をカバーすることも可能でしょう。今回のケースでは、障害認定日(障害年金が請求できる日)は20歳に達した日になります。つまり20歳当時にさかのぼって障害基礎年金を請求することが可能ということです。仮に20歳当時から障害基礎年金が認められれば、初回の年金振込時に過去5年分がまとめて支給されることになります」

すると母親は不思議そうな顔をしました。