「フルタイムでのお勤めは何歳くらいまで?」

パート収入が減ってしまう分を、何か他の収入でカバーすることができないか? そのあたりのことを考えていく必要がありそうです。そこで、筆者は母親に質問をしてみました。

「フルタイムでのお勤めは何歳くらいまでのご予定でしょうか?」

「65歳まででしょうか。それ以降は、体力的にもフルタイム勤務は厳しいかもしれません」

「なるほど。それでは65歳以降にパート収入が減るといった想定にしてみましょう。お母親が65歳になると老齢年金が受給できますから、その金額も把握しておきたいところです」

筆者は母親から年金加入状況を聞き取り、大まかに試算してみることにしました。

母親の年金加入状況は概ね次の通りです。

20歳から23歳まで 国民年金 未納
23歳から27歳まで 厚生年金 平均年収170万円程度
27歳から42歳まで 元夫の扶養(※)国民年金の第3号被保険者
42歳から65歳まで 厚生年金に加入予定 平均年収200万円程度

※離婚時の年金分割の手続きはしなかったとのこと

母親の年金加入状況をふまえ、筆者は大まかな試算をしてみました。

老齢基礎年金 月額 約6万円
老齢厚生年金 月額 約3万円
合計 月額 約9万円

試算を終えた筆者は母親に言いました。

「65歳以降にパート収入が減ってしまった分は、老齢年金でカバーすることになるでしょう。仮にパート収入が半分になってしまっても、何とか持ちこたえることはできそうです。ただ、今回計算した老齢年金額はあくまでも大まかなものです。詳しい金額は、年金事務所で試算してもらうか、ねんきんネット(日本年金機構のサイト)で確認するようにしてください」

「はい。分かりました。確認しておきます。ですが、もし私が65歳になる前にパート収入が減ってしまったら……。一体どうすればよいのでしょうか?」

「その場合、ご長男にもご協力いただけないか検討する必要もありそうです。ご長男は26歳とお若いですし、例えばご長男が働いてお金を稼ぐということは難しいのでしょうか? 正社員でなくてもパートやアルバイトでも構いません。就労することに不安を抱えているようであれば、まずは就労支援を受けることから始めてみる方法もあります」

それを聞いた母親の表情は一層曇り出しました。

薄暗い部屋のカーテンをつかむ女性の手
写真=iStock.com/liebre
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