「20代が仕事もせずに家にずっといるなんて何事だ!」

長男は年金の未納期間が多すぎて障害年金の請求ができなかった。他に何か対策は立てられないものだろうか。筆者はそう考え、長男のことについてもう少し詳しく話を聞くことにしました。

長男は小さい頃から、自分にとって不都合なことが起こるといつも誰かのせいにしてきたそうです。例えば「虫歯になったのは母親が歯磨きのしかたをきちんと教えなかったからだ」とか「宿題の問題が解けないのは先生の教え方が悪いからだ」とかいったようなもの。

この状況は大学生になっても変わることはありませんでした。大学から帰ってきた長男は、教授や同級生に対する不平不満を毎日のように母親にぶつけてきました。

そのような状況なので、就職活動も思うようにはいきませんでした。なかなか就職が決まらない長男は「面接官の態度が威圧的」「こんな会社に就職したってすぐに辞めてしまうだろう。逆に不採用でよかった」というような発言を繰り返し、とうとう就職が決まらないまま大学を卒業してしまいました。

乱雑なままのベッド
写真=iStock.com/Milan Koelen
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大学卒業後、いくつかのアルバイトをしてみましたが「お客さんの態度が悪い」「上司や同僚のレベルが低い」といった文句ばかりで、どのアルバイトも長続きしませんでした。次第に口数も減り、自室にこもるようになってしまいました。そんな状態に腹を立てた父親は、ある日長男の部屋に突然入り込み「20代の若者が仕事もせずに家にずっといるなんて何事だ!」と大声で怒鳴りました。

当時は長男も若かったので、父親と取っ組み合いの大げんかになってしまったそうです。その後も長男と父親は顔を合わせると険悪な雰囲気になってしまうため、お互いに顔を合わせることを避け、無関心を装うようになっていきました。母親はそのような状況に心を痛めていましたが、何もすることができませんでした。一歩も前に進めない無為な時間だけが何年も経過しました。