障害年金の申請を急ぎ、ひとり暮らしの資金にする

長男の問題に話を戻そう。

前述の通り、長男が占拠している自宅を明け渡さなくてはならなくなっているが、長男は小林さんの話を聞こうともしない。小林さんは何度も自宅に足を運んで話し合いを試みたり、置き手紙で状況を説明したりしているのだが、話は聞いてもらえず、手紙は読んでいるかすら、わからない。

手紙をしたためる手元
写真=iStock.com/c11yg
※写真はイメージです

家族では話が進まないだろうからと、現在は、長男となんとか話ができるという、自治体の職員を通して、状況を説明してもらうように依頼している。家族には手を上げるが、自治体の職員には暴力を振るわないことがわかっているからだ。

「家を担保にお金を借りたが、返せる見込みが立たないので家を明け渡さなければならないこと」
「病院を受診したうえで、障害年金の申請をしてもらいたいこと」
「障害年金の申請が通ると、過去5年分の障害年金をまとめて受給できる可能性があること」
「5年分の障害年金をまとめて受給できたら、そのお金でアパートを借りて、ひとり暮らしをしてほしいこと」

などを、職員の人から伝えてもらうことにした。

長男は措置入院の経験が複数回あるので、受診(初診)の記録は探せる可能性がある。障害年金の申請には、初診日の記録がとても重要になる。初診日から数十年も経過している長男の場合、未受給の年金のうち、時効になっていない5年分の障害年金をまとめて受け取れる可能性があるのだ。

5年分といえば、約390万円ものまとまった金額になる。5年分の障害年金を受給できれば、そのお金を基にして、長男はアパートを借りてひとり暮らしをスタートさせることが可能になる。