高齢者に理想的な睡眠時間は何か。三代にわたって90年以上睡眠研究を続ける睡眠医療専門家の遠藤拓郎さんは「中高年にとって、理想の睡眠時間は夜11時半(23時半)から朝6時半の7時間である。言い換えれば、この時間帯以外は床にいないで、起きているべきだ。そのうえで、1日7000歩程度を確保し、日中の活動性を上げることで、睡眠の質を上げるといい」という――。(第3回/全3回)
※本稿は、遠藤拓郎『75歳までに身につけたいシニアのための7つの睡眠習慣』(横浜タイガ出版)の一部を再編集したものです。
目覚めのスッキリ感は、朝の太陽の光から
本稿では「75歳までに身につけたい睡眠習慣」について、お話ししますが、「習慣作り」の手始めとして、拙著『朝5時半起きの習慣で、人生はうまくいく!』について、簡単に触れておきたいと思います。
この本のテーマは「早起きの習慣をいかに作っていくか」でした。
この本で、私は「体に負担をかけない早起きの習慣は、朝5時半起きが限界である」と結論づけました。
なぜ、私は「朝5時半起きが限界である」と主張したのでしょうか?
その理由について、論点をコンパクトにまとめてみたいと思います。
のちほど解説しますが、ヒトの体内時計の周期は25時間で、朝の太陽の光で24時間に修正されています。
朝の太陽の光には「体内時計を1時間早める機能」、つまり「体内時計の調節機能」があるのですが、実はもう1つ大事な役割があります。
それは「メラトニンの分泌を抑える働き」です。
メラトニンについても、のちほど詳しく説明しますが、例えば、朝の太陽の光を浴びると、何となく「スッキリ感」を得られますよね?
その理由は、朝の太陽の光を浴びることによって、メラトニンの濃度が「眠気が消失するレベル」にまで一気に下がるからです。
眠気を吹き飛ばし、目覚めのスッキリ感を出すためには、朝の太陽の光が欠かせないのです。