歳を重ねても質の高い睡眠をとり、長生きするにはどうすればいいか。三代にわたって90年以上睡眠研究を続ける睡眠医療専門家の遠藤拓郎さんは「睡眠研究をしていた私の父やチューリッヒ大学の研究・実験データは『睡眠時間が短い方が、深い睡眠の量が増える』ということを明らかにしている。実際、世界から『働き過ぎ』『睡眠不足』とされてきた日本は、『日中にがんばって働くこと』と『質の良い短い睡眠』がセットになって、世界一の長寿国となっている。裏を返すと長く寝る人ほど、早死にする」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、遠藤拓郎『75歳までに身につけたいシニアのための7つの睡眠習慣』(横浜タイガ出版)の一部を再編集したものです。

歳を取ってからも「深い睡眠」を増やす方法

中高年になるにつれて、深い睡眠の量はどんどん減っていきます。

深い睡眠が減ると、睡眠の質が落ちるだけでなく、脳や体のメインテナンスに欠かせない「成長ホルモン」の分泌も減ってしまいます。

では、歳を取ってから、深い睡眠を増やすためには、いったいどうすればいいのでしょうか?

「深い睡眠の量」は「起きていた時間」、つまり「いかに長い時間起きているか」と密接な関係を持っています。

この2つは、どのような関係性を持っているのでしょうか?

まずは、図表1をご覧ください。

これは私の父の研究データをもとに作成したグラフで、「起きてからの時間」と「深い睡眠の量」の関係をまとめたものになります。

このグラフをご覧いただくと、2時間後、6時間後、10時間後、16時間後と「起きていた時間」が増えるにつれて、「最も深い睡眠」も「深い睡眠」も、ともに増えていることがお分かりいただけると思います。

これは例えば、朝7時に起きたとすると、2時間後の朝9時に寝るよりも、6時間後の午後1時(13時)に寝た方が、深い睡眠の量は2倍になるということです。

同様に、16時間後の午後11時(23時)に寝たとすると、朝9時に寝た場合と比べて、深い睡眠の量は3倍になります。

つまり、起きていた時間が長ければ長いほど、逆に言うと、睡眠時間が短ければ短いほど、深い睡眠の量は増えていくものなのです。