※本稿は、池澤摩耶『子どもを人生ゲームの勝者にする最強マネー教育』(光文社)の一部を再編集したものです。
ポケモンカードは経済の入門として最高の教材
自分で資産が増やせるマネーリテラシーを身につけさせよう。私がそうしたメッセージを発信すると、「子どもに投資なんてできるとは思えない」「株とはなにかもわからないのに」といった疑問や不安の声が、よく返ってきます。
しかし、実は投資や株についての正確な知識はなくても、経済活動に必要な「モノには価値がある」「価値は変動する」という感覚が、すでに身についている子どもは少なくありません。
それは、家庭や学校、地域の人間関係や遊びのなかで、自然に身につく感覚です。お金をあまり触ることのない小学生ぐらいの子どもであっても、投資に必要な素地はすでにできあがっていることがあります。
どんな遊びで? と思いますよね。
実はそれは、みなさんも日常的によく見る「トレーディングカード」です。
「今このイーブイ、人気出てきて価値上がってるって!」
ポケモンカード(通称ポケカ)で遊んでいる子どもたちから、そんな声を聞いたこと、ありませんか?
一見ただの遊びのようだけれど、実はこれ、立派な“経済の入門編”。
そう、子どもたちはすでに「トレーディングカード」という仕組みを通して、「モノの価値」や「資産性」、「その価値の変動」を、毎日のように体感しているのです。
子どもの間で行われているのは「株式市場」
たとえば、
「このピカチュウ、限定版だから取っておいたほうがいいかも」
「ギラティナとアルセウスなら、こっちがちょっと得かも」
といったような会話が自然と飛び交う。
「ルギアと交換しよ?」
「いいけど、それだけじゃ足りないから、もう一枚つけて!」
こんなやりとり、もう立派な“交渉”です。
市場での人気やレア度によって価値が上下するカードたち。これはまさに、株式や投資と同じ仕組み。カードの価値は日々変わり、数千円から、時には数万円、数十万円の値がつく“激レア”カードも登場します。
「このカード、来月の大会で注目されるかも」なんて予想を立てて取引するその感覚。これこそが、未来の価値を読む=投資の視点です。
そして、何よりおもしろいのが、子どもたちがカードを手にして交渉しはじめた瞬間。
「これとそれ、交換しよ?」
「いや、オリジンパルキアとセットじゃないと無理!」
そうやって自然と“価値”を見極めている子どもたちは、まさにマーケット感覚をフル稼働させている、小さな投資家たち。
トレカが飛び交う子どもの遊び場は“ミニ株式市場”なのかもしれません。

