「価値」はスペックと人気で決まる
「モノには価値がある」「その価値は変わっていく」――。
そんな経済の大前提は、私たちの身のまわりにたくさん転がっています。
子どもにそれを伝えるとき、私はよく「スペック=性能」という言葉を使います。たとえば「足が速い」「絵がうまい」「声がキレイ」。人より優れたスペックがあれば、それが“価値”になる。
「だから、世界的なアーティストやスポーツ選手のチケットは高くなるし、特に人気のライブとなれば、二次流通(リセール)で驚くほどの価格がつくこともあるんだよ」
そう話すと、子どもたちは「なるほど!」とすんなり受け入れてくれます。
実際の例でいえば、世界的な人気歌手、テイラー・スウィフトが2023年から24年にかけて行った世界51都市、152公演の「The Eras Tour」では、史上最大興行収入の20億ドル(約3000億円)を突破。
そんな空前の人気となったチケットが、アメリカのカンザスシティのセカンダリー・マーケットで45万ドル(約6750万円)という超高額で売買されたと、当時一部メディアが報じました。
テイラーのチケットから学ぶ価値を見る目
アメリカでは、多くの州でチケットリセールは合法で、専門のプラットフォームで日常的に行われています。
もともとのVIPチケットは約1000ドル(約15万円)。それがなんと、450倍の45万ドルにまで高騰したというのだから、まさに“お化け株”。もしこれが株式だったら、AmazonやAppleのような「伝説級の大化け銘柄」と言えるでしょう。
世界中の人が「テイラー・スウィフトという人にそれだけの価値がある」と判断した結果、チケット価格が跳ね上がった。これは市場原理そのものです。
もちろん、ここまで極端な例は珍しいけれど、「多くの人が欲しいと思うモノほど、価値は上がる」という仕組みを体感的に理解できる、わかりやすい事例でもあります。
こうした実際の話を、子どもと一緒に「すごいね」「なんでこんなに上がったんだろうね?」と話題にすることで、自然と“投資マインド”や“価値を見る目”が育っていくはずです。



