相手に「経済力」は求めない
フィンランドの人口調査機関は毎年フィンランドの「家族」に関して様々なテーマで調査報告しているが、2013年発表の夫婦関係や別れをテーマにした調査によると、女性が男性に求めるものは信頼、価値観の共有、尊敬、家族へのコミットメント、家事の同等の分担、強い愛情、問題解決能力、感情表現などで、経済力は入ってこない。
さらに、カップル関係においては女性の6割が価値観の共有が大切だと答え、2人の時間を過ごすことを重視している。ちなみに同調査によると、離婚を切り出すのは女性が3分の2。そのうち3分の1は男性にとって突然だったという。自立した女性が多いフィンランドでは、愛情がなくなったらあっさりと結婚生活を終わらせてしまう傾向が強い。
フィンランドの女性活躍には、男女平等はあくまでも「人間的な権利、価値の平等」であって、ことさらに「女性活躍」といった言葉で表現することは少ない。価値も基本的権利も性別にかかわらず同等であることが大前提だ。そして男性も女性も性別にとらわれることなく、同じように社会でも家でも健康で幸せに過ごせて、自分の能力が発揮できることを目標としている。
フィンランドの問題点とこれから
これだけ男女平等を実現しているフィンランドでも、いまだ問題点は山積みだ。一例が男性と女性の平均賃金の差で、女性の方が約16%低い。フィンランドは同一労働、同一賃金なので男女差はないはずだが、これだけ差があるのは、高額の報酬を得る役職に女性が少ないことと、業種によって性別の偏りがあること、そして子育てがまだ女性により多くの負担を強いていることが原因だと言われている。
例えば、給料が高いエンジニアの職種には、エンジニアリングを勉強した男性が多く、女性はどちらかというとサービス業などに多い。こういった偏りを改善するためにも、もっと理系分野や経営学を学ぶ女性を増やすよう努力すべきだとフィンランド商工会のレポートは述べている。
逆に、現在医学部や獣医、歯学部の学生は圧倒的に女性が多く、看護や薬剤師などの医療系も女性優位だ。小学校の教師養成も圧倒的に女性が多く、職業による偏りは顕著だ。教育においても、博士号を取得するのは現在では女性の方が多いが、まだまだ教授や研究者は男性の数が多い。
最近は、LGBTQや障がい者の権利の平等について語られることも多くなった。男性、女性といった性別ではなく、全ての人が平等に扱われるべき、というように広い視野で捉えて検証や対策がとられつつある。