次にオープンしたのが八王子だ。駅ビルという立地の良さから4月のオープン当初は1日200杯ほど出たが、3度目の緊急事態宣言で人の呼び込みが制限されたことが響いた。その後は、1日100杯程度で落ち着いている。

外から店の存在がわかりにくい構造になっており、客が素通りしてしまっているのが難点だ。幸い家賃がほかの店に比べて低いので、コストが重くない。完全にワンオペで回していけば、利益を残すことはできる。

1年で「年商1億円」規模に迫る快進撃

変わった経緯で出店が決まったのが、5月オープンの府中だ。伊勢丹跡地にできたショッピングセンターへの出店で、落札した大手フルーツジュース店がコロナ禍で辞退した代わりに依頼が来た。これまでの経緯もあり、家賃はほかの店に比べて安い。

オープン直後の売り上げは、700杯程度に達した。駅に近い入り口近くという場所の良さから、オープン後2カ月たっても週末は1日500杯程度の売り上げが続いている。家族連れの客が多く、親子で買ってくれるのが大きい。

桜上水店。京王線桜上水駅の北口すぐにある。(写真=バナナスタンド提供)
桜上水店。京王線桜上水駅の北口すぐにある。(写真提供=バナナスタンド)

6月にオープンした桜上水は、駅前にある銀行ATMの一角に出店した。駅ビルでもない地味な場所だが、駅前にコンビニやカフェがないので、それなりに客が入る。1日150杯程度だが、ワンオペで十分利益が確保できることがわかった。

ランチ帰りに近所に勤めるサラリーマンが増え始め、夕方以降は帰りの客が寄っていく。家賃は固定の15万円だが、ここまで安ければ売り上げが下がっても利益は維持できる。4カ月連続の出店になったが、急いだのはバナナジュースがいちばん売れる夏に間に合わせたいからだった。

7月の売り上げは、府中店400万円、仙川、池上、桜上水の各店が200万円、八王子店が100万円に達した。合計1100万円。年商1億円がもう目の前に迫っていた。(続く)

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