記念日に購入する人が圧倒的に多い
——「パティスリーSATSUKI」の「新エクストラスーパーメロンショートケーキ」といえば、1ピース4000円超の高級菓子として有名です。どんな方が買っていくのでしょうか。
【髙山剛和さん(以降、髙山)】記念日に購入される方が圧倒的です。そのためクリスマスは通常のショートケーキよりリッチな「スーパーシリーズ」と「エクストラスーパーシリーズ」が断然、支持されます。
——「エクストラスーパー」だけでなく、「スーパー」シリーズもあるんですね。これらのシリーズが生み出された背景を教えてください。
【髙山】ホテルニューオータニの開業40周年に当たる2004年に、お客さまへの感謝を込めたサービスを考える中で生まれたのが、「スーパー」シリーズの皮切りとなる「スーパーショートケーキ」でした。
グランシェフの中島眞介が、いちごは「あまおう」にこだわり、砂糖・卵・小麦粉といった材料ひとつひとつまで吟味して、1カット1000円で販売しました。
大田市場であまおうを大量に買い求めた
——高級食パンが流行っている今ならわかるのですが、20年前にケーキ一切れ1000円超という価格は大きなインパクトだったのでは。
【髙山】マーケットには相当な衝撃だったようです。ただ私どもからすると1000円という価格は決して高いものではなく、「顧客還元価格」でした。正直、採算ベースではもっと高額で出さなければいけないケーキだったのです。他のパティシエから「こんな値段で売って大丈夫なのか」と心配されたこともあります。
あと、最高級のいちごを大量に大田市場で買い求めていましたので、他の飲食店の方々から、「水菓子として出すような高級品をどうして加工品で使うんだ」とのお声もあったようです。
——髙山さんにはヒットの確信、スーパーショートケーキの勝算があったのでしょうか。
【髙山】ヒットうんぬんでなく、使命感ですね。なぜ高級いちごである「あまおう」を加工品のケーキに使うのかと言えば、それをお客さまが求めているという思いがあったからです。新しい価値観を提供できなければ、決してお客さまに満足していただくことはできないだろうと。