埼玉県上尾市にあるユニークな要介護者向けデイサービスが話題を呼んでいる。リハビリ特化型施設「アクティ」だ。施設内にはエアロバイクやウオーキングマシン、体幹トレーニング用のグッズ、ノルウェー製のエクササイズなど用意され、要介護者が汗をかいている。取材したライターの相沢光一さんは「脳梗塞で半身まひになった方などの症状がよくなり、要介護卒業を果たす人もいます」という――。

アグレッシブな要介護者向け「デイサービス」が話題

介護保険適用のサービスのひとつに「デイサービス(通所介護)」がある。

「アクティ」の理学療法士・前田伸悟さん
「アクティ」の理学療法士・前田伸悟さん(撮影=相沢光一)

在宅で介護を受けている高齢者を朝、クルマで迎えに行く。施設に着いたら健康チェックや体操をし、昼になったら食事。午後はリハビリや入浴、レクリエーションなどを行い、夕方になったら自宅に送り届ける。このように要介護の人が施設で1日を過ごすサービスだ。

もちろん、このサービスは要介護者のためにある。在宅介護では、体を動かすことも他人と接することも限られる。となれば、孤立し心身の機能も衰えがちになる。そこで、外出して、さまざまなプログラムが用意されているデイサービスを利用すれば機能維持に役立つというわけだ。

その一方で、もうひとつの目的がある。介護する家族のためだ。家族はケアに追われることになるが、要介護者が日中デイサービスに行ってくれれば、その間、介護者に自由になる時間が与えられる。

多くのデイサービス事業所は利用者に快適に過ごしてもらうことに注力し、体操やリハビリは行うものの、それは機能維持のための軽い内容で、利用者に穏やかな一日を提供する方向性のところが多い印象だ。

「でも、要介護になる前のような状態に戻りたいという方や自分のことを自分で行えるようになりたいというニーズはあります。要介護3と認定された方だったら2に、2になったら1に、介護度を維持または、向上を目指す。ウチはそういう方のためのデイサービスなんです」

そう語るのは埼玉県上尾市にあるリハビリ特化型デイサービス『acty*(以下、アクティ)』を運営する理学療法士の前田伸悟(38)さんだ。どんなサービスを行っているのか、見学させてもらった。

筆者はこれまで、複数のデイサービス施設を見学させてもらったことがありますが、どこも穏やかでゆったりした空気に包まれていました。利用者はほとんどの時間を椅子や車椅子に座って過ごします。体操やレクリエーションの時は、立ち上がったり動いたりしますが、体に負担がかからない内容で、職員も労わるように接します。

ところが「アクティ」の空気はまったく違っていました。