3年ごとに改正される介護保険法により介護保険制度は変わる。毎回、利用者の負担額が増えているが、2020年の改正では「負担増がついに低所得者にも及び始めた」と批判の声が出ている。ライターの相沢光一さんがキャリア15年以上のケアマネジャーに「介護とお金」を巡る背景を聞いた――。
介護保険証
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

「国は低所得者層イジメをするのか」介護負担増に憤慨する声

国の「介護保険制度」は、高齢者などの要介護者が受けるサービスの費用を給付し介護生活を支えるのが目的です。この制度の規定を定めた介護保険法は3年ごとに改正されます。

近年はそのたびに利用者の負担増につながる改定が行われています。介護保険制度が始まった2000年以降、自己負担額は1割でしたが、2014年の改正(施行は1年後)では年金収入などが単身の場合、年間280万円以上の要介護者は2割負担に、2017年の改正では340万円以上の人が3割負担になりまし。

高齢化が進み要介護者も増え、医療や介護といった社会保障費が膨らみ続け財源が逼迫ひっぱくしている状況では「収入によって応分の負担をしてもらおう」という規定もやむをえないことと受け入れられてきました。

ところが、2020年の改正では、負担増がついに低所得者にも及び始めました。

「補足給付」という制度があります。2000年の介護保険創設時、特別養護老人ホームなどの高齢者施設の食費と居住費は保険給付の対象ですた。しかし2005年、在宅で介護を受ける高齢者との公平性を保つという理由から自己負担になったため、施設に入所している低所得者の救済策として食費と居住費を助成する「補足給付」が設けられました。対象となるのは、収入が少ない住民税非課税世帯。

単身の場合、預貯金が1000万円以下の人で。ところが、それが今回(2020年)の改正では、この預貯金額の要件が一気に650万~500万円以下に引き下げられました。また、この要件を満たしていても年金などの収入が120万円以上ある人は、1日の食費が650円から1360円に引き上げられました。2倍以上の増額で、ひと月にすると約2万円もの負担増になります。

補足給付を受けていた人は全国で約100万人いて、このうち約27万人が今回の制度見直しによって負担が増えたといわれます。「家計が苦しいから補助を受けていたのに……」「国は低所得者層イジメをするのか」と頭を抱え憤慨する施設入所者、家族も少なくないようです。