筋力低下で死亡率が3倍になる
人は誰でも年齢を重ねるごとに筋力が衰えます。男女ともに20歳をピークに筋力は緩やかに低下します。
運動をしたくても膝や腰、肩の慢性の痛みがつらい人。
ケガをきっかけにスポーツをやめてしまった人。
若い頃からこれといった運動をしないまま中高年を迎えてしまった人。
長年の不摂生で太ってしまった人。
コロナ自粛でしばらくジム通いを中断している人。
このような方々に対し、私は「今からでも遅くはありません。あきらめないで!」とお願いしたいです。人それぞれ体力や心身の状態は違えども、筋力を増やすことに「時すでに遅し」ということはありません。
なぜ筋肉を鍛える必要があるのでしょうか? 2021年に欧州の医学雑誌(※1)に掲載された興味深い研究結果があります。
この研究では、45万人ものイギリス人(40~70歳、女性24万人、男性20万人)を10年間追跡し、筋力、歩行速度、生活習慣などが寿命に及ぼす影響を調査しています。
この期間中に亡くなった男性は6783人、女性は3808人でした。男性は女性よりも死亡率が高く、また筋力が弱く、歩行が遅く、生活習慣が悪い男性は、筋力が強く、歩行が早く、生活習慣が良い男性よりも10年後の死亡率が約3倍も高いということが判明しました。
この研究結果から、筋力を維持・強化することの重要性がよくわかるとともに、裏を返せば、トレーニングにより筋力を増強させることにより、寿命が延びるということを示しています。
(※1)Zaccardi F, Franks PW, Dudbridge F, Davies MJ, Khunti K, Yates T. Mortality risk comparing walking pace to handgrip strength and a healthy lifestyle: A UK Biobank study. Eur J Prev Cardiol. 2021 Jul 10;28(7):704-712. doi: 10.1177/2047487319885041. PMID: 34247229.