突然の頭痛の1割には命の危険があるといわれている。横浜市立大学附属市民医療センターペインクリニック内科の北原雅樹医師は「頭痛を放置してはいけない。特に『物が二重に見える』『ろれつが回らない』など6つの兆候がある際には、すぐに医師の診断を受けてほしい」という——。(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター高橋誠)
頭をおさえている人
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

すぐに医者に行くべき「急性の頭痛」を見分ける6つのポイント

ひとくちに頭痛といっても、頭痛は脳血管障害など原因となる疾患のある「急性の頭痛(二次性頭痛)」と、それ以外の「慢性の頭痛(一次性頭痛)」に大きく分類されます。

これらの頭痛をしっかりと見極め、特に急性の頭痛が疑われる場合は、すぐに医療機関の脳神経外科か神経内科を受診しましょう。これが頭痛から命を守る大原則です。

くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、髄膜炎、脳炎など脳の異常や、副鼻腔炎、帯状疱疹後神経痛などから来る「急性の二次性頭痛」は、命に関わる怖い頭痛です。新たに起こるゆえに「急性」なのですが、数カ月続く場合もあります。頭痛患者の約1割がこの頭痛です。

はっきりとした原因があるわかりやすい頭痛なので、すぐに頭痛の専門医や脳神経外科、神経内科に行き、画像診断、精密検査のうえ適切な治療をすれば、たいていは短期間で治すことができます。次の6つの神経学的所見や兆候があったときは、急性の頭痛を疑ってください。

【北原式 急性の頭痛6つのチェック】
1.物が二重に見える。
2.ろれつが回らない(言語障害)。
3.手足が思うように動かない(歩行障害や手のしびれ)。
4.発熱、倦怠感、体重が急に減少(全身的な症状)。
5.新たに始まった、最近急に起きた頭痛(特に50歳以降)。
6.今までとは明らかに症状が違う(最近3~6カ月以内の急な変化)
・右側だけだった片頭痛が両側になった。
・急に吐き気がひどくなった。
・意識障害を伴って起こる激しい頭痛。
・朝起きた時だけ痛む。

基礎疾患のない人が危険な急性の頭痛にかかることはまずありませんが、糖尿病で感染しやすい人、高血圧、高脂血症の人は頭蓋内感染や脳血管障害などが原因で急性の頭痛になるリスクは高いと言えます。