ある種類の頭痛は、薬を飲むほど症状が悪くなる恐れがある。横浜市立大学附属市民医療センターペインクリニック内科の北原雅樹医師は「鎮痛薬をひと月に15回以上摂取している人は薬物乱用頭痛の疑いがある。頭痛薬を飲むほど悪化するので、薬に頼ることをやめて、すぐに医師の診断を受けてほしい」――。(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター高橋誠)
鎮痛剤の飲み過ぎが頭痛を引き起こす
これまで紹介してきた片頭痛や緊張性頭痛は一般にも比較的知られています。しかし、3番目に多い薬物乱用頭痛を知っている人は多くはいません。
私のもとには、頭痛に悩む多くの患者さんがやってきます。痛みがひどく、市販の鎮痛薬を摂取して何とか抑えている人もいます。精密検査を受けても異常は見当たらず、原因が分からずにやってくる人もいます。
話をうかがうと、なかには市販薬の服用が習慣化している人もいます。朝晩、毎日使用しているというケースもありましたが、自分の判断でどんどん薬を飲んでしまうと危険です。薬が効かなくなるばかりか、逆に頭痛がひどくなるからです。仕事や日常生活にも影響を及ぼします。そのような患者さんは薬物乱用頭痛が原因である恐れがあります。
本稿では片頭痛、緊張性頭痛に続く“第3の頭痛”である「薬物乱用頭痛」を取り上げます。これは痛みの専門家でなければ医師でも見逃してしまうこともある、薬の服用過多によって生じる頭痛です。
薬物乱用頭痛は、特に片頭痛の患者さんが、月15回以上も薬を飲みすぎてしまうことで生じる頭痛です。頭痛が起こる前触れを察知して、あらかじめ痛みを避けようとしてしまうのです。
しかし、それこそが頭痛をこじらせ、長引かせている要因です。このタイプの頭痛を治すには、「鎮痛薬を予防薬として使うという習慣」を止めるしかありません。
【北原式 薬物乱用頭痛4つのチェック】
1.数年前とは頭痛の性質が違う
2.前ほど薬が効かなくなってきた
3.すっきりと痛みが消える時があまりない
4.頭痛薬が手放せない
1.数年前とは頭痛の性質が違う
2.前ほど薬が効かなくなってきた
3.すっきりと痛みが消える時があまりない
4.頭痛薬が手放せない
このような症状が出てきたときは、薬物乱用頭痛が疑われます。この頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛と異なり、治療法・予防法が確立されておりません。詳しい原因も分かっていません。