薬が効かないといわれる緊張型頭痛(ストレス頭痛)でも、あえて市販薬や漢方薬を飲んでおけばいいケースがあります。以下の通りです。

・頭痛の発作が月4回(週1回)以下であること
(1箱12錠入り頭痛市販薬が3カ月程度でなくなるペースが限界)。
・特に30代前半までで、たまに起こる程度の軽い頭痛。
・常備薬を飲めば治まるパターンが長い期間できている軽い頭痛。
・眼精疲労による頭痛と診断されていて、常備薬を飲めば治まる頭痛。
・かかりつけ医からの診断、治療をすでに受けていて、症状が変わらない頭痛。
・年1回の健康診断や人間ドックの頭部MRI検査の結果、脳に大きな異常がないうえでの頭痛。

ただし、適切な使用方法で適切な量を飲みましょう。市販薬、漢方薬にも種類がありますので、胃の負担に注意し、ご自身の体に合ったものを選びましょう。市販薬、漢方薬を飲んでも改善されない場合は、早めに医者に行きましょう。

「慢性の頭痛」でも市販薬だけに頼るのはNG

頭痛についての文献をいろいろと検索をすると、世界の慢性疼痛診療ガイドラインはこの30年間ほとんど変わっていません。基礎的な研究は進んでいるものの、臨床的には変化がないのです。なおかつ、日本の慢性痛治療は欧米に比べ30年遅れています。

だからこそ医者任せにせず、ましてや頭痛を放置せず、頭痛としっかりと向き合うことが何よりも大切です。頭痛の頻度や程度が増してきたら、市販薬ですぐ治せるレベルを超えているサインです。必ず医者に行ってください。

次回は、健康寿命を延ばすための「緊張型頭痛」の対処法をご紹介します。

(詳しく知りたい方はこちら)
・慢性痛に関するYouTubeチャンネル「慢性の痛み講座 北原先生の痛み塾
第53回:頭痛総論
第54回:片頭痛
・慢性痛についての総合的情報サイト「&慢性痛 知っておきたい慢性痛のホント

(注1)本稿での解説は、世界最高峰の痛みの研究組織、米国ワシントン州立ワシントン大学集学的痛み治療センターでの5年間の留学時代に習得し、日本帰国後に臨床に応用し多くの症例を積み重ねたうえで多少改変した、痛みの専門医として有効性が高いと感じる個人的見解、私論であります。意見には個人差がありますので、あくまでも主治医の先生と相談のうえ、どの治療を選択するかは自己責任としてくださいますよう、お願い申し上げます。

(注2)私の在籍する横浜市立大学附属市民総合医療センターペインクリニック内科では、現在、神奈川県内の患者さんのみ受け付けています。全国各地からのお問い合わせは「慢性の痛み政策ホームページ」の全国の集学的痛みセンターの一覧をご参照ください。

(注3)厚生労働省「からだの痛み相談支援事業」の電話相談窓口はこちらです。

(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター高橋誠)
【関連記事】
「野菜たっぷりなら良いわけではない」糖尿病患者にほぼ確実に不足している"ある食べ物"
2カ月で約30kg痩せた男が白米のかわりにたっぷり食べていたもの
40代で一気に「顔の老化」が進む人が毎朝食べているもの
メンタル不調のときにまず食べるべき最強で手軽な「うつぬけ食材」
「精神科医が見ればすぐにわかる」"毒親"ぶりが表れる診察室での"ある様子"