「親のリモートワーク」に抱く不安
コロナ2度目の夏がやって来た。昨年は、一学期のコロナ休校のしわ寄せで夏休みが短くなり、中学受験生は学校の授業を受けた後に、塾の夏期講習を受けるといった非常にハードな夏になった。コロナ初年度ということもあり、親も子も不安な夏を過ごしたに違いない。しかし今年は、休校の影響もなく、いつもの夏休みになる。
変化があるといえば、親の働き方だ。コロナ禍で東京オリンピック・パラリンピックが開催されることになり、多くの企業はリモートワークを推奨している。今は出勤しているけれど、開催期間だけリモートワークになる人もいるだろう。日ごろ、共働きで十分な受験サポートをしてあげられない親は、「お昼ごはんの心配もしなくていいし、家で勉強を見てあげられるからよかった」と思っているかもしれない。だが、私は「これはまずいな」と不安がよぎった。親と子が一緒に過ごす時間が長くなると、かえってうまくいかなくなるケースをいくつも見てきたからだ。
親の小言が子どものやる気を奪う
まず、親の小言が増える。一緒にいる時間が長いと、子どものダメなところばかりが目に入ってしまうからだ。なかなか勉強を始めないと「早く勉強を始めなさい!」と叱り、ダラダラ勉強していると「そんなんじゃ合格できないわよ!」と発破をかけ、問題が解けなければ「なんでこんな問題が解けないの?」と責める。これを毎日やられては、子供はたまったもんじゃない。ムカついて親子喧嘩に発展するか、子供のやる気を奪うか。こうなってしまうと、一緒にいるメリットは何もない。
子供の勉強に関わるのなら、短所を見つけて修正しようとするのではなくて、長所を見つけてそこを伸ばすことを意識してほしい。親は子供のよいところに目を向ける意識をしてほしい。多少勉強を始める時間が遅くても、自分から始めようとする姿勢が見えたら、「おっ、エライね! 頑張っているね!」とほめる。たとえ問題が解けなくても、考えた形跡が見えたら「ちゃんと図に書いて考えたんだね。考え方としてはいいと思うよ。でも、ここで計算ミスをしちゃったんだね。落ち着いて計算したら、合っていたかもね」と、できているところは認め、「あと少し頑張ればできる」と思わせてあげる。そうやって、子供に自信を与える言葉を渡してほしい。でないと、子供は頑張れないからだ。