夏休みの塾は「学習量が多く、授業スピードが速い」

小学校が長期休みになる夏休みは、中学受験生にとっては受験勉強に集中できる貴重な期間だ。特に6年生の夏休みは「受験の天王山」といわれているほど重要で、ここでどれだけ頑張れるかが合否を分ける。大手進学塾の夏のスケジュールは、お盆休みを除いてほぼ毎日授業がある。平常授業よりも授業時間が長く、しかもそれが毎日続く。

さらに子供たちを大変にさせているのは、学習量の多さと授業のスピードの速さだ。例えばサピックスの6年生の平常の算数カリキュラムは、7月なら「速さ」「平面図形総合」「ニュートン算」の3単元だが、夏期講習カリキュラムでは、「数の性質」「割合」「速さ」「場合の数」「平面図形」など全部で18単元を学習する。平常授業の6倍も勉強するのだ。5年生においても14単元と平常の約4倍にのぼる。平常授業よりも授業時間が長いとはいえ、これだけの単元を学習するとなると、授業のスピードも速くなる。

宿題は取捨選択、お盆休みの学習計画は事前に決める

しかも、宿題が毎日たくさん出る。翌日は違う単元を学習するので、今日習ったことは今日中に覚えなければ、積み残しが増えていくばかりだ。だが、出された宿題をすべてやるのは物理的に不可能だ。そこで、宿題の取捨選択が必要になる。

私が勧めているのは、「○△×学習法」だ。授業中に理解できたものには○、まだ完璧には理解できていないけれど、あと少し頑張ればできそうなものには△、まったく理解できないものには×をつけておく。宿題としてやるべきものは、あと少し頑張ればできそうな△の問題だ。ここが理解できるようになれば、よしとする。そうやって、割り切って進めていかなければ、量でつぶされてしまう。

受験生の休みは本当に少ない。四谷大塚の夏のスケジュールを見ると、4~5日連続で授業があり、1日休みがあって、また4~5日連続で授業……をくり返す。まとまった休みはお盆の5日間だけだ。それが6年生だけでなく、4、5年生もほぼ同じであることに驚く。たまの休みはゆっくりしたいと思うが、そうは言っていられない。いくら宿題の取捨選択をしても、いくつかの積み残しがあるからだ。1日休みは、それに取り組む日にする。お盆休みは、あらかじめ何をするか決めておくといいだろう。小学6年生なら志望校に出やすいレベルの問題だけ復習する、小学4、5年生なら、夏期講習で習った新しい単元を復習するなど、子供の理解度に合わせて、やるべきことを決めておく。

だが、夏休み中ずっと勉強だけでは、子供も参ってしまうだろう。1日くらいは思いっきり遊べる日を作ってあげてほしい。

親子
写真=iStock.com/Hakase_
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