アメリカではコロナウイルスのワクチン接種が急ピッチで進んでいる。ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院では、12月16日より接種を始め、2月3日時点で職員の98.4%が1回目の接種を終えた。同院医師の柏木哲氏は「短期間にほぼ100%の接種を達成できたのは、トップダウンの強固なオペレーションがあったからだ」という――。
ワクチン接種、成功の鍵は
2021年2月6日時点で、アメリカでのコロナウイルスによる死者は46万人を超え、その人的、経済的な損失ははかりしれない。この1年間で、筆者が住んでいるボストン市の日常の風景も一変した。まさにアメリカを襲った未曾有の国難といえるであろう。
これを食いとめるべく、ハーバード大学医学部関連病院では、今まで経験したことのない大規模かつ迅速なワクチン接種プログラムが施行された。
2020年12月11日、ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したコロナワクチンが米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)を受けると即時にワクチン接種が開始された。ハーバード大学医学部ならびに関連病院は、最先端の医療や医学研究を牽引する医師や研究者が在籍するため、玄人中の玄人を対象に接種するということになる。
短期間で開発が進められ、長期的な安全性などに疑問が残るワクチンではあるが、接種率はほぼ100%を達成している。一体どのように接種が進められたのであろうか?