53歳の無職の長女と2人暮らしをする80歳の母親には、年金収入のほかに月約5万円の家賃収入がある。ある日、長女がひきこもりであることを知る不動産会社から物件の買い替えを提案されたが、これは月7万円以上のローンを12年間払う一方、家賃収入はさほど望めない条件の悪い案件だった。相談を受けたファイナンシャルプランナーが別の不動産会社の協力を得て提案した最高の解決策とは――。
シニア女性
写真=iStock.com/SetsukoN
※写真はイメージです

80歳母親「娘には兄弟姉妹がいません。頼れる身内もいません」

無職の長女(53)と二人で暮らしている母親(80)はその胸の内を語りだしました。

「長女には兄弟姉妹がいません。頼れる身内もいません。私(母親)が死んだ後も何とか生活できるように、お金の見通しを立てておきたいのです」
「なるほど、わかりました。では、お金に関する基本的なことから順番にお話していただいてもよろしいでしょうか?」

筆者はそう言い、母親から聞き取りをすることにしました。

■家族構成
長女 53歳
母親 80歳
※父親は半年前に死亡
■財産
現金預金 2500万円
自宅土地と家屋 ほぼ価値なし(周囲は畑だらけでほとんど価値はないとのこと)
東京に賃貸マンション1室 1500万円(仮に売却をした場合。諸経費などは考慮せず)
■収入
母親の年金収入 手取り 月額換算で約18万円(老齢年金と遺族年金の合計)
賃貸マンションの収入 手取り 月額5万2000円(管理費、修繕積立金、管理委託料、固定資産税などを控除した後)
長女 収入無し
■支出
基本生活費 月額約18万円
固定資産税など 月額換算で約3500円