弟(45)は同居する年金暮らしの母親(78)のすねをかじっており、ここ20年働いていない。15年後に母親が他界し、遺産のうち2500万の預貯金を自分(兄・48)が相続し、弟が実家を相続すると想定すると、弟の生活はたちまち破綻する。ファイナンシャルプランナーによるマネーシミュレーションの結果を知った兄が「家も預貯金も弟にやる」と言い放った理由とは――。
20年働いていない45歳次男と同居する78歳母の苦悩
最近は、新型コロナの影響でリモートで相談を受ける案件が増えています。
しかし、ひきこもりの子供に関する相談では直にお会いしての面談ということが多いです。なぜなら相談依頼をする親が、デジタル機器に不慣れな70~80代の高齢であるためです。
今回の、40代でひきこもりの子供と同居する78歳の母親(都内在住)からの相談も対面式でした。相談の性格上、どうしても個室での相談となりますが、少し窓を開けて換気するなど、感染対策に配慮しながら相談を受けました。
母親は、夫を5年前に亡くしています。自分が他界した後にひきこもりの次男(45)が生活していけるか調べてほしいという相談内容でした。
【家族構成】
・母親:78歳(年金生活) 年収206万円(年金・夫の遺族年金含む)
・次男:45歳(無職) 収入なし。同居
・長男:48歳(結婚して別世帯)
※父親は5年前に他界。
【資産】
・預貯金:約2500万円
・自宅:戸建て持ち家
・母親:78歳(年金生活) 年収206万円(年金・夫の遺族年金含む)
・次男:45歳(無職) 収入なし。同居
・長男:48歳(結婚して別世帯)
※父親は5年前に他界。
【資産】
・預貯金:約2500万円
・自宅:戸建て持ち家
何でも有能な一流企業勤務の兄に劣等感を抱く次男
相談者の子供は男2人。長男(48)は幼少時から成績優秀で、一流大学を卒業して都内の有名企業に勤めています。今は家庭を持ち、子供も1人います。対して次男は特に優秀というわけではありませんでしたが、大学を卒業して人並みに就職はしました。しかし、兄に対するコンプレックスがあったのか、ほどなくして退職してしまい、その後は仕事が長続きしませんでした。ひきこもり生活はかれこれ20年になります。
「亡くなった夫も私も、けっして兄弟を比較するような言い方はしてこなかったけれど、それでも本人は気にしていたのかもしれません」
母親は振り返ります。
兄弟仲はけっして悪いわけではなく、今でも二人で話をすることはあるそうです。長男家族はたびたび訪ねてくるそうで、「孫も次男に懐いていて、そういう時は明るく話をするんですよ」。
子供がひきこもりの家庭では、兄弟仲が悪いことが少なくなく、その点は安心しました。
「お母様亡き後は、弟さんにとってはお兄さんとそのご家族が頼りですから、今の関係が続いてくれると安心ですね」