会社員の男性(52)の実家には、母(80)と姉(55)が同居中だ(父は半年前に他界)。姉はピアノ教室の先生だが実入りはほぼない。親に衣食住のコストを依存するだけでなく、「ピアニストになるため」と月8万~20万円の小遣いを受け取っている。預貯金1億円が1100万円に激減した母親は、男性に「私と長女に経済的支援をするのは長男の当然の務め」と堂々とお金をせびり始めた――。
コンサートホールでピアノを弾く女性
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「あなたが私と姉の面倒をみるのは当然」と言い張る80歳母

首都圏在住の52歳の男性(長男)から相談を受けました。

聞けば、半年前の父の死をきっかけに実家の母(80)から経済的な援助を求められており、援助には実家暮らしの姉(55)の分も含まれていることにひどく困惑しています。

姉は持病もなく元気で、外出もしています。母が困っているのに一切働こうとしない、中年ニートの状態で、その存在が心の重荷になっているとのことでした。

姉は働くことができるはずなのに、収入を得ようとしていません。にもかかわらず、母は、「長男(相談にきた男性)が姉も含めて面倒をみるのは当然」だと主張します。

男性は20代で独立し、会社員として働き、妻と2人の子供(高校生、大学生)を養っています。

実家は亡き父の残したお金があり、経済的なゆとりがあったという認識でした。なぜ援助が必要なのかと率直に尋ねたところ、姉の小遣いが毎月8万円とわかり驚きました。しかも、8万円は最近になって減額した額らしく、経済的な困窮は姉の小遣いが原因ではないかと、姉を責めたい気持ちでいっぱいだと言います。

音大卒業後、ピアノ教室の先生をしながらピアニスト目指す姉だが…

姉は音楽大学卒業後、実家でピアノ教室を開いてきました。ピアノ教室は姉の本業ではなく、ずっとピアニストを目指しているようでした。男性が知る限り演奏活動はしていませんし、本気の度合いもわかりかねますが、母は「(あの子は)夢を追い求めているのよ」と言い張ります。

ピアノ教室の先生という仕事に本腰を入れているようには見えず、生徒数を尋ねてもお茶を濁します。おそらく、収入も利益もほとんどないも同然だろうと男性は踏んでいます。

そんな姉を、母はずっと応援してきました。母と姉は仲がいいのです。短期海外留学には同行していましたし、遠方の著名な先生の指導を受ける際も常に付き添っていました。ピアノ教室を開いたばかりの頃は、生徒さんがレッスンに来ると、レッスンの前に母がお茶とお菓子をふるまって和やかな時間を過ごすなどのサポートをしていました。