60歳の男性は40歳の頃、妻と死別。以来、ひとり息子はひきこもり、今もその生活が続く。33歳になった息子を世話してくれる83歳の義母には月10万を送金しているが、近ごろはしばしば追加請求され、義母が生活費に流用している疑念が浮上。せめて月2万円でも息子が稼げるようになるために自立支援団体に数百万円を払うべきか悩んでいる——。
ベッドでスマホを操作
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
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中3時に母を亡くした息子(33)はひきこもって、もう20年がたつ

「今後、息子の生活にかかるお金をどうすればいいのか困っています……」

関東地方に住む男性(60)には離れて暮らす息子(33)がいます。現在、息子は妻の実家で祖母(83)と二人暮らし。すでに20年近く息子に会えないまま、生活費の名目で送金し続けてきました。ところが、コロナ禍で収入が減り、その支払いが難しくなってきたのです。息子と共倒れになってしまわないか心配になり、生活が成り立つかどうかファイナンシャルプランナーである筆者を訪ねたのでした。

男性は40歳でIT関係の会社を興し、忙しく働いていました。その一方、息子の夏休みや冬休みには必ず旅行をして家族の時間を持つようにしていました。

子育てを含め、家のことのほとんどは妻が引き受けてくれていましたが、息子が中学3年の頃に他界しました。病気がわかってから数カ月後のことでした。私立中学に通っていた息子はそれまでも学校を時々休んでいたようですが、母の死亡後は1度も学校へ行きませんでした。

それでも、息子はリビングにあるテレビを見にきたりパソコンを使ったりするために自分の部屋から出てきますし、父子の会話はありました。母を亡くした悲しみが癒えればいずれ学校へ行くだろうと考え、男性は登校を強いることはしませんでした。

期間限定で義母宅に息子を預けた

一方、仕事は軌道にのっており、部下も増え、男性の仕事は自分でコントロールできないほど増えていました。せめて息子と一緒に夕食をとろうと早めに帰宅しようと思うのですが、かなわない日々が続きます。家事を父子でこなすことができず、プロの家事サービスの利用を検討し始めた頃、妻の母(当時60代)から息子の一時預かりの申し出がありました。

義母の子どもは亡くなった妻一人なので、息子はただひとりの孫ということになります。義母に負担をかける申し訳なさはありましたが、義父はすでに他界していて義母が一人で暮らしていたこともあり、義母も寂しいだろうから、3人にとってなかなかよい話だと思いました。何より、妻の実家は息子の通う私立中にわが家よりも近いのです。そこで、仕事の調整がつき、息子の気持ちが落ち着くまでの期間限定で、義母の申し出をありがたく受けることにしたのでした。