息子が本当に働けるようになるかはまったくの未知数
しかし、支援団体に数百万円を払うのは大きなリスクです。
数百万円の元をとりつつ、本人が月2万円以上に稼ぐことができなかった場合、どのシミュレーションも赤字に陥る時期が早まります。シミュレーションには、義母と父の介護費用、父宅のリフォーム費用を加味していないので、それらの費用が発生すれば、本人の生活はさらに成り立たなくなってしまいます。
支援団体とおつきあいする場合には、高額な費用に見合うリターンが得られるかどうか冷静に厳しくチェックしてほしいとお伝えしたのでした。
当初、筆者への依頼は、「預貯金で父子の生活がどこまで成り立つか知りたい」というものでした。支援団体の利用は頭の片隅にありましたが、最初はそれほど乗り気とはいえませんでした。それが、「月2万円の収入」という条件でのシミュレーション結果で、父親は息子が自立して稼ぐように促せば大丈夫ではないかとの期待を持ったようです。
しかし、月2万円とはいえ、これまで一度も働いたことのない息子が本当に働けるようになるか。それはまったくの未知数です。子どもの未来が明るくなることへの期待は持ってほしいのですが、冷静な気持ちも同時に持ち続けることが、保護者の努めでしょう。