37歳の男性は大学1年の頃からひきこもり状態となり、一度も就労経験がなかった。そんな生活を10年以上続けた30歳の半ばころ、唯一の友人が結婚すると聞き、「祝儀を自分で稼いで渡したい」と突如マンションの夜間管理人バイトとして働き始めた。以来、ずっと働き続けられた意外な理由とは——。
冬、屋外で遠くを見つめるビジネスパーソン
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親資産1億超のひとり息子37歳「ひきこもり10年」の脱出ストーリー

ひきこもり状態の家族がいる世帯から受ける家計相談では、当事者である子供が来訪するケースは少ない。だが今回のケースは、当事者であるAさんがファイナンシャルプランナーへ直接相談することを希望し、両親を伴っての相談が始まった。

当事者本人Aさんは、30代後半の男性。両親はともに60代を迎えたばかりである。記事を執筆している時点で、相談回数はすでに3回。後述するように、もともと資産状況に問題のない家庭だが、「唯一の友人への思い」がきっかけで、当事者が就業できるようになった事例としてご紹介しよう。

家族構成と家計・資産状況
貯蓄
約1億1000万円(母親が祖母からもらった相続財産が含まれている)
収入
父親 会社員(61歳) 年収約500万円
母親 パート(60歳) 年収約60万円
Aさん(長男)アルバイト(37歳) 年収約100万円
支出
家族全体で年間420万円程度
・戸建ての持ち家で家賃負担なし
・長男の国民年金保険料は親が負担