「自分は両親の死後も路頭に迷わずにすむのか」
近畿地方のある県に両親と住む相談者のAさん(31歳女性)の悩みは、「私は、これから死ぬまで最低限の衣食住を満たす暮らしができるのだろうか」というものでした。
Aさんは中学時代にひきこもり状態になり、高校はなんとか卒業したものの、メンタルの不調が続き、10代後半にうつ病と診断されました。20代以降も、ほとんど働くことができず、
自分は両親の死後も路頭に迷わずにすむのか……。そんな不安な気持ちから少し前にファイナンシャル・プランナー(FP)に依頼して、今後のキャッシュフロー表の作成を依頼しましたが、数字が正しいか疑っていました。
なぜなら、このFPはひきこもりの人向けのキャッシュフロー表を作ったことがなく、信憑性に欠けるのではと感じたから。それで今回改めて筆者に相談をしたのです。
相談の当日、筆者のオフィスの場所がわかりづらかったら、最寄り駅から連絡してくださいと伝えていたため、父親(60歳・会社員)と一緒に来たAさんは、駅から電話をかけてきました。
迎えに行くべく、足早に駅に向かうと、駅前に2人で立っていました。筆者を見るなり、父親は深くお辞儀した後、「私はそちら(筆者オフィス)には伺いません。このあたりで時間をつぶしているので、娘をお願いします」とだけ言って、去っていきました。
「父は私を腫れ物に触るように接してきます」
オフィスに到着後、筆者が「お父様も一緒に来られたら良かったのにね」とAさんに話しかけると、「すみません、そういう人なのです。父はいまだに私とどう接して良いのかわかっておらず、腫れ物に触るように接してきます」と話しました。たしかに父親の顔には不安と期待が入り交じっている様子でした。
本題に入る前に少し雑談をしました。それで、わかったことがありました。
Aさんがひきこもりになった原因は、4歳上の姉(35・独立結婚し2児の母)と比較されたことだったそうです。真面目で聡明な姉と、ちょっとぼんやりしていたAさんは何においても常に比較されたそうです。Aさんはそれに耐えられず、中2の頃から外に出られなくなり、ひきこもるようになったとのことでした。