「自分の苦手なことを避けられる職場を見つける」が社会復帰のカギ
Aさんの場合、父親がまだ現役社員で年収500万円あり、母親もパート収入が年60万円あること、また、すでに億超えの資産をもっており、経済的に恵まれている背景があるからこそ、「アルバイトのまま働く選択」が可能なわけだが、正社員にこだわって、無理して働き、職場でのいじめやパワハラに遭って精神状態をさらに悪化させてしまうケースはいくらでもある。
自分の苦手なことを整理して、それを避けられる職場を見つけるのも、ひきこもりの社会復帰のプランのひとつの方法になるのではないかと、筆者自身もAさんのケースから学ぶことができた。
「今のような職場環境であれば、特に辞める必要性も感じないですし、働き続けていたほうが、ひきこもっていた時よりも体調もいい気がします」というAさん。
今後は、両親のどちらかが亡くなった時の一次相続、両親ともが亡くなった場合の二次相続についての相続対策をはじめ、入院するときに必要となる保証人の確保、また万が一、認知症などで手続きが難しくなった場合に手続きを代行してくれる後見人の確保など、親亡き後のサポートを模索していくことになる。
とはいえ、Aさんはまだ37歳だ。
この先、結婚して伴侶ができたり、子どもを持ったりする可能性もあるはずだ。
冒頭で述べた通り、Aさんのケースは親が持つ資産をAさんが正確に知りたいと願ったために、ファイナンシャルプランナーへの相談につながった。
そして初回の相談からすでに、サバイバルプランの内容を、ご両親、Aさんの三者とも理解できている。
Aさんの年齢と、サバイバルプランが成り立つはずの現実を考えると、親亡き後のサポートについては、ゆっくりと時間をかけてプランを練れば十分だと感じている。今は両親と一緒に、筆者自身も、Aさんが長く働き続けられるように願っているところである。