ひきこもりの再生と称して親族から法外な費用を請求する「引き出し屋」のトラブルが増えている。ひきこもりの子を持つ家庭からマネー相談を受けている村井英一氏は「親は藁をもつかむ思いで支援団体に依存する。しかし子が社会復帰できるとは限らない。その前提でマネープランを組むべき」という——。
有名大学→大手企業→1年で退職→現在31歳でひきこもり
「あとどれくらいお金をかけても大丈夫でしょうか」
退職まであと1年となり、今後の資金状況のシミュレーションをしてほしいと、60代のご夫婦が相談に来ました。話を伺うと、長男(31)が自宅にひきこもりとなっており、なんとか社会復帰をさせたいとご両親には焦りの色が見られます。
◆家族構成
・父親:64歳(会社員) 年収300万円
・母親:60歳(パート主婦) 年収80万円
・ご本人:31歳(無職)
・姉:33歳(独立して、別居している)
◆資産
・預貯金:2000万円
・自宅:マンション(持ち家)
・父親:64歳(会社員) 年収300万円
・母親:60歳(パート主婦) 年収80万円
・ご本人:31歳(無職)
・姉:33歳(独立して、別居している)
◆資産
・預貯金:2000万円
・自宅:マンション(持ち家)
長男は、もともと内向的でおとなしい性格でした。学生時代の成績は優秀で、有名大学を卒業して大手企業に就職したものの、厳しい企業風土についていけず、1年もしないうちに退職してしまいました。その後、就職活動をするものの、前の職場での経験がトラウマとなってか、慎重になってしまい、新しい仕事に挑戦することができませんでした。そのうちに、働かない期間が長くなり、自室に閉じこもることが多くなりました。
なかなか仕事が決まらないものの、外出ができないわけではなく、両親が長男のことを「ひきこもり」と認識するのはしばらく時間がたってからでした。
「うちの子は、最近よく聞く『ひきこもり』なのかもしれない……」
両親はそう認識すると、なんとかわが子を立ち直らせるための行動に移しました。特に父親は熱心で、どこからか「ひきこもりの子を立ち直らせます」という団体を見つけ、長男への支援を依頼しました。