不動産の受け渡しも無事完了した後、母親から一通のメールが
それを聞いた母親は長女に視線を送り、その後T氏と筆者をしっかりと見据えました。
「そこまで私たちのことを考えていただき、大変感謝いたします。ご提案していただいたこの物件で検討してみたいと思います。ですが、ご連絡までもう少し時間をいただいてもよろしいでしょうか? 長女とも話し合ってみたいので」
長女も黙ってうなずきました。
「はい、構いません。なお、これらの物件はすでにご入居者様がお住まいなので、内見はできませんが、外からご覧いただくことはできます。その際はご同行いたしますので、どうぞお気軽にお申し付けください」
T氏はそう答え、その日の面談は終了しました。
面談から2週間がたった頃。家族の希望でT氏の提案物件で契約をすることになりました。契約を交わした後、T氏からA社に事情を説明してもらったので、特にトラブルになることもありませんでした。
不動産の受け渡しも無事完了し、初回の家賃が母親に振り込まれた頃。母親から一通のメールが筆者のもとに届きました。そこには母親の感謝の言葉がつづられていました。
「その節は大変お世話になりました。本日、家賃の振込を確認いたしました。A社からの提案を受けた時はどうしたものかとすごく不安になりましたが、先生方にご相談して本当に良かったです。おかげさまで家賃収入も増えたので、長女も少しは安心できたようです。本当にどうもありがとうございました。今後もいろいろとお世話になることがあると思いますが、その時はどうぞよろしくお願いいたします」
母親のメールを読んだ筆者は「ご家族のお役に少しは立つことができたかな?」と思い、ほっと胸をなでおろしました。