「受け身社員」を前向きに変える方法
本連載では、世界の経営学の視点を基に、日本のファミリービジネスで代替わりを機に革新を起こしている「第二創業」企業を題材に学びを得ていきます。
今、多くの伝統的日本企業が、働く人のクリエーティビティを引き出せず、変革の壁に直面しています。暗黙のルールや、合意形成にコストがかかる上意下達の文化など、経済成長期の組織システムが残っているおかげで、変革を回避する受け身の働き方が定着してしまっているのです。
この状態を打破する鍵の1つが内発的動機を刺激し、高めることが挙げられます。内発的動機とクリエーティビティの関係については、近年、経営学の世界でも注目され、さかんに研究されています。ちなみに内発的動機とは、やりがいや楽しさによるモチベーションのこと。給料、昇進など外部的な影響と関係なく、純粋に内面から湧き上がるヤル気を指します。組織心理学者アダム・グラントは、心理実験から「内発的動機を強くもつ人のほうが創造的な成果を出しやすい」との研究結果を報告しています。