やめるにやめられない慣例をやめる法

本連載では、世界で研究されている経営学の視点をもとに、いま日本のファミリービジネスで代替わりを機に革新を起こしている「第二創業」企業から学びを得ていきます。第1回で取り上げる視点は「インスティテューショナル・アントレプレナー(制度起業家)」です。

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制度起業家は社会・社内の古い「常識」を打破し、新しい仕組みを打ち立てる起業家や経営者のことを指します。経営学では「常識」は幻想のようなものといえます。「慣例だから」「業界では当たり前だから」と、人には「周囲と同じ行動をとることが正当である」という心理的メカニズムに従いがちな性質があります。それは「深く考えなくて済む」という意味で認知の負担を楽にするのですが、やがてそれが「常識」として社会や組織にこびりつくと、時代の変化に対応できなくなるのです。

そこで時代遅れになった「常識」を変革しようとするのが制度起業家です。しかし、これは口で言うほど簡単ではありません。なぜなら、自分以外の周囲はそれを「常識」だと考えたままなので改革に抵抗するからです。他方で、そのような困難を乗り越えて成功する制度起業家もいます。今回は北海道のサツドラホールディングスの事例から探ってみることにしましょう。