やめるにやめられない慣例をやめる法

本連載では、世界で研究されている経営学の視点をもとに、いま日本のファミリービジネスで代替わりを機に革新を起こしている「第二創業」企業から学びを得ていきます。第1回で取り上げる視点は「インスティテューショナル・アントレプレナー(制度起業家)」です。

写真=iStock.com/taa22
※写真はイメージです

制度起業家は社会・社内の古い「常識」を打破し、新しい仕組みを打ち立てる起業家や経営者のことを指します。経営学では「常識」は幻想のようなものといえます。「慣例だから」「業界では当たり前だから」と、人には「周囲と同じ行動をとることが正当である」という心理的メカニズムに従いがちな性質があります。それは「深く考えなくて済む」という意味で認知の負担を楽にするのですが、やがてそれが「常識」として社会や組織にこびりつくと、時代の変化に対応できなくなるのです。