※本稿は、山口慎太郎『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

子どもを叩いてはいけない、たった一つの理由

保育園通いの効果を理解するためには、子どもだけでなく、お母さんの変化にも注目する必要があります。お母さんに注目するのは、やはり、子どもとの距離が最も近く、影響力が最も大きいと考えられるためです。

写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

お母さんと子どもの関係を知るために、お母さんの子どもに対するしつけのしかたを見ていきます。子どもが3歳半時点で行われた調査では、子どもが悪いことをしたときにどのように対応するのか質問しています。具体的には、以下の五つの質問に対して、「よくする」「ときどきする」「まったくしない」のどれに当てはまるかで答えてもらいます。

1 言葉でいけない理由を説明する
2 理由を説明しないで「だめ」、「いけない」としかる
3 おしりをたたくなどの行為をする
4 子どものしたことを無視して悪いことに気づかせる
5 外に出す・押し入れに閉じ込める

これらの中で、最も望ましいと考えられているのは、1の「言葉でいけない理由を説明する」で、逆に最も望ましくないとされているのは、3の「おしりをたたくなどの行為をする」です。