中小企業には、時代の流れに乗りつつ、横のつながりを大切にするスタンスが重要だ。フットワークの軽さを武器に、新しい挑戦をするとき、周りを巻き込み、連携を促す。そうすることで、それぞれの特長や得意分野が絡まり合って太くて強い糸となるからだ。

福岡県で運送事業を手掛ける髙光産業は、そのお手本のような企業である。早期からインターネットを駆使し、多くの中小企業と膨大なユーザー情報を共有する仕組みを立ち上げた。一見、畑違いのフィールドだが、これを端緒に自社の事業のアップデートを図り、ビジネスモデル特許を多数取得。地域に根差す優良企業となった。

その成長の背景には、今や福岡の中小企業を引っ張るリーダー的存在である妹尾八郎社長の先見の明と、「一人勝ち」をよしとせぬ姿勢が活きている。

「一人勝ち」を目指す企業に情報は集まらない

中小企業の経営者は自分自身で決断しなければならない要件が多く、孤独になりがち。ですから、「孤立しない」ように意識するのが大切だと思います。「孤立しない」ためには自分だけが得するのではなく、相手も喜んでくれる関係性を維持する必要があります。

極めて当たり前の前提ですが、要は「一人勝ち」しようとしない、ということ。一人勝ちを目指す企業や人にいい情報はだんだん集まらなくなりますし、いざというとき、助けてくれる人もいなくなります。