「教えてもらっていませんから」と言われたら
今では20代の若手層は全員ゆとり世代だ。2018年には小学校入学時からゆとり教育を受けた「フルゆとり世代」も新入社員として入社。彼らは何を考え、何が原動力になるのか。プレジデント誌は有名企業の人事責任者による覆面座談会を実施し、ゆとり世代の特徴と、彼らへの教育について話を聞いた。
●対話した後に「だから君にやらせるんだ」(広告業人事部長)
●「そんなことは自分で考えろ」は禁句(外資系製薬業 人材教育担当部長)
●「将来こういうことに役立つよ」と説明(小売業人事部長)
●「そんなことは自分で勉強しろ」はNG(サービス業人事担当役員)
――ゆとり世代はどんな性格・特徴を持っていますか。
【広告】一言で言うと「いい子ちゃん」だ。うちはクリエイターも多いが、俺が俺がというガツガツタイプは少なく、さりとて温和すぎるわけでもない。要するに5段階評価で言えばオール5ではなく、オール4。そつがなく“出る杭タイプ”が少ない。
【製薬】そう。そつがない。昔と違い、没個性タイプが多く、よくも悪くも集団の中でカラーがきれいにまとまっている感じだ。入社後の新入社員研修でも昔は「どうして人事はこんな人を採用したのか、ダメじゃないか」という人がいたが、そういうのは少ないね。
【小売】よく言えば優等生なんだが、失敗を怖がる点では共通しているよね。昔は若いうちは失敗して成長するのだという懐の深い企業文化があった。でも今は中学・高校時代から教育現場でも失敗はよくないという雰囲気になっている。とにかく失敗したくないと思っている。
【サービス】それでいて教えてもらっていないことを勝手にやって失敗することもある。しかし、叱られることを極端に嫌がる。「教えてもらっていませんから」と平気で言う。僕らの時代はそんなことを言えば先輩社員から「ふざけんじゃないよ、おまえうまくやれよ、わからなかったらちゃんと聞きに来いよ」と叱られたものだ。
【製薬】昔の人に比べてストレス耐性が低くなっている。失敗すると誰でも落ち込むが、回復するのに時間がかかり、回復する力も相対的に弱いね。やはり失敗はよくないという教育を受けてきているからだろう。