――ゆとり世代と先輩・上司のコミュニケーションギャップを埋めるために何かやっていますか?

【広告】何か対策を打たなければいけないというのはわかっている。ゆとりの感覚では、会社の教育や指揮命令系統などがシステマチックになっていない会社はダメだと思っている。たとえば、上司が「背中を見て学べ」的なことを言うのは、そもそもマニュアルがなく、教える力がないからダメなことだと考える。あるゆとりの社員からは、「教えるシステムがないから、僕らが教えてくださいと言いに行かないといけないのですか?」「自然に覚えるなんてありえません。会社の教育システムがおかしいんでしょ」と言われたことがある。僕が「君の言う通りだよ、でも君はそこまではっきりと言うの」と、返すしかなかった(笑)。

【サービス】じつは部・課長を対象に若い社員にどんな研修をしてほしいのかというニーズ調査をしたことがある。その結果に思わず笑ってしまったが、最もニーズが多かったのが「空気を読める研修」だ(笑)。

つまり、上の人間が機嫌が悪そうだったら話しかけるなとか、相手の気持ちを察しろ、ということ。ある部長なんか「鳥の目、虫の目、魚の目という言葉がある。鳥の目、虫の目は、俯瞰し、複眼で見ること。魚の目は気配を感じることだが、ゆとりは気配を感じられないんだ」と嘆いていた。

【広告】人事としては最初の配属先の上司との相性には気を遣っている。適性検査によって何事も細かい性格なのか、ストレスに弱いか、新人がどんなタイプなのか、ある程度わかる。配属先の上司のタイプを見て、この人だと部下との間でトラブルを起こす確率は少なくなるだろうと考えて配置をする。

たとえば、自信家で無理難題を言ってくるような上司のところにストレス耐性が低い新人を入れると、すぐに辞めるリスクが高まるからね。中にはどんな新人にもオールラウンドに対応できる管理職もいる。人事の間では“金八先生”と呼ばれている。困ったときは金八先生のところに送り込もうと。社内に金八課長、金八部長がいるんだ(笑)。その人たちは懐が深いし、相当危ない新人でもなんとかなる。