フェラーリとクルマはまったく別物なのです

「ジュエリーやバッグをやめるから、クルマをやめて」と説得する<br><strong>モータージャーナリスト 清水草一●</strong>慶應義塾大学卒業後、集英社に入社。1993年独立。MJブロンディの別名で執筆活動も。
「ジュエリーやバッグをやめるから、クルマをやめて」と説得する
モータージャーナリスト 清水草一 
慶應義塾大学卒業後、集英社に入社。1993年独立。MJブロンディの別名で執筆活動も。

そもそも奥さんはなぜ夫にクルマをやめさせたいのでしょうか。クルマには生活で使用する移動手段としての役割と男の趣味としての役割があります。

まず移動手段としてのクルマをやめさせたいと思うのは、コストパフォーマンスが悪く、他の手段のほうが家計が楽になるからでしょう。実際に夫婦でクルマの購入費や維持費などを計算し、タクシーやレンタカーを利用するケースと比較してみれば、コスト差ははっきりします。

自家用車のようにいつでも好きなときに使えるわけではないので不便な点もありますが、それを差し引いても余りある節約が可能なら、一度手放してみるのも悪くありません。変化を恐れてはいけません。

変化を恐れる夫に対しては、「じゃあ、クルマのない生活がどんなものか、1年だけ実験してみようか」と期間限定で説得してみてはどうでしょう。

また、説得の際に家計上のプラスばかりを前面に押し出すとギスギスしますから、「レンタカーならいろいろなクルマに乗れるから楽しいよ」とメリットを強調するのも手です。

実際、私も旅先でレンタカーを借りることがありますが、どんなクルマが来るのかワクワクします。いろいろなクルマに浮気できるのですから、クルマ好きのハートを捉える説得術といえます。

もっとも、私が借りるのはいつも最低クラスの1300ccですが、日本で乗るのにこれ以上のグレードはまったく必要ないとしみじみ感じます。ビュンビュン飛ばしたいという欲望さえ満たしてくれます。

私は人生をフェラーリに捧げるほどの男ですが、移動手段としては100万円以下のクルマしか買いません。つい先日まで軽自動車に乗っていたくらいです。移動手段としては十分だと思います。