お金だけ持っていても人生つまらないよ
もともとお金に対する執着はあまりないほうです。当社の株式を公開して自分の個人資産がそれなりにできてからますます執着がなくなったような気がします。
僕は金持ちになりたいと思って起業したわけではありません。起業も、心を震わせられるような仕事ってなんだろうと、「21世紀を代表する会社をつくる」という理想を実現するための手段でした。
ネットバブルのときに失敗したことがあります。株価が低迷し続けたとき、社員に頑張ってもらおうと自分の保有株式を全社員に配ったのですが、辞める人が続出。十分な報酬を支払えば人はついてくると思い込んでいたのです。しかしお金だけでは人はついてこない。むしろ、モラルが下がる。苦い経験でしたが、これから学ぶことは数多くありました。
当社は若い人が多い組織ですから、人材の採用や育成には特に力を入れています。社員をやる気にさせ、ロイヤルティーを高めてもらうには、仕事をきちんと評価し、成果に対する対価として報酬を支払うことが大事なんです。
では、お金よりも大切なものを見つけるにはどうすればいいか。起業当初、USENの宇野康秀社長に「フェラーリと馬は買うな」と口をすっぱくして言われたこともあり、個人のお金の使い方には注意してきたつもりです。起業してからは、さまざまな場所に遊びに連れていってくれた先輩や友人もいたので、年齢相応の遊びなども経験しました。
これらのことから行き着いた結論としては「時間」でしょうか。1時間で100万円であろうが、1日タダであろうが、金額に関係なく時間を有意義に過ごすことが大切です。有意義な時間を誰と過ごすかを真剣に考えています。ただ、それはある程度お金があって経験しないと言えないことではあるのですが……。