元手300万円から230億円を稼いだカリスマ投資家のcis(しす)。億万長者の私生活はどんなものなのか。初の著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』(KADOKAWA)の出版を記念し、「2ちゃんねる」で知り合ったという妻との馴れ初めや、年間3億円を使うという暮らしぶりについて、本人に聞いた――。(第3回)
写真=AFP/時事通信フォト

「1億2000万円持ってます、彼女募集中」

――230億円を稼いだcisさんの普段の生活にとても興味があります。「家族サービス」はするのですか。

【cis】家族サービスは特にしていませんけど、家族仲はいいですよ。子どもが父親をどう思うかは母親の影響が大きいと思いますから妻のおかげですね。

母親が父親のことを悪く言えば、子どもたちも同じ感情を抱くと思います。でも、うちの妻は「パパは適当にやっているのが仕事だから」と言ってくれているので、子どもたちも「そんなものか」と思っているんでしょうね。

――そんな奥様と出会ったきっかけは「2ちゃんねる」だったそうですね。

【cis】あれは、友達のマネをしただけなんですよ。専業トレーダーになったばかりのころ『電車男』がブームになっていて、投資家の友達が2ちゃんねるの純愛掲示板に「3億持ってます、彼女募集中」というスレッドを立てて「25歳くらいまでの容姿に自信のある方」を募集していました。

面白そうだったので僕も「1億2000万円持ってます、彼女募集中」みたいな名前の劣化版を作ってみました。「年齢、容姿は問いません」としたので、「3億持ってます」の友達の100倍はメールが来ましたね。

10カ月くらいで3000通ぐらいかな。まあ、そのうち2000通くらいは冷やかしの男性からでしたけれど。

5億円損しても意に介さない妻との出会い

それでも1000通は女性からだったので、人生経験だと思って週に3、4人ずつ会ってみたのです。どこかの駅で待ち合わせして食事をして、最寄り駅までタクシーで送る。その繰り返しです。紳士中の紳士な感じで(笑)

でも、それくらいテンプレ的な行動じゃないと次々と女性に会うのは無理なんですよ。食事の後にバーに行ったり、カラオケに行ったり、ラブホに行ったりしたら疲れてしまって新しい人に会う気力も体力もなくなりますから。

普通に生活していたらなかなかできない体験になりましたね。どう見ても50歳くらいの女性が現れて「お姉さんすぎたかな」なんて言われたり、バレンタインデーに近いときに40代後半の女性から5キロくらいあるテディベアの形をしたチョコレートを渡されて途方にくれたり……。

結局、ノルマをこなすだけで精いっぱいになり懲り懲りして打ち切ったのですが、その直後に連絡があったのがいまの妻です。当時彼女は地方の国立大の大学院生で就活のために東京に来ていた。東京に知り合いもいないし、面白そうだから人生経験のために連絡してきたようです。