葬儀の簡略化が進んでいる。東京に限ると、最もシンプルな「火葬のみ」を選ぶ人が全体の2割を超える。リリーフが行ったアンケート調査では、家族と親戚だけで行う「密葬」や、さらに小規模な「家族葬」を希望する人があわせて8割にも及ぶ。希望する予算総額も100万円以下と答える人が半数以上。ところが業界の慣習などもあり、希望通りにはいかないことも少なくない。
葬儀の始まりは病院である。患者が亡くなると病院指定業者が現れ、「葬儀社はお決まりですか?」とセールスを始める。だが業者が「指定」されているのは遺体の搬送のみ。遺族としては、自宅や斎場・火葬場など安置場所への搬送だけを業者に頼み、冷静に考える時間を持つことが大切だ。3社ほどの見積額や担当者の人柄を比較するといい。
病院指定業者は「指定」を維持するために、病院への保証金や寄付、常駐社員の人件費など少なくとも年間1000万円以上、都心の大病院の場合はそれをはるかに上回る額の費用をかけている。その分、高コスト体質になっているのだ。葬儀にかかる費用は、(1)祭壇や柩代など葬儀社に支払う費用、(2)斎場使用料や料理・飲み物代などの実費、(3)寺院などへのお布施の3つに分けられる(詳細は図を参照)。会葬者100人として最低でも200万円強となるのを覚悟しておく必要がある。
葬儀に続く心配のタネはお墓。首都圏のような人口密集地では墓地不足が深刻だ。忌上げまでの永代供養を行ってくれる都心の「納骨堂」を選ぶ世帯が増えている。一般の墓は、墓地や寺院指定の石材店に注文する。複数の業者から選べる場合は、石材店に施工例を見せてもらって判断するのがいいだろう。