「子どもさんが独立し、ご夫婦2人きりになったときに、死亡保障が4000万~5000万円もついた生命保険は果たして必要でしょうか。これを引き下げ、掛け金が少なくなった分を貯蓄や投資にまわして老後に備えましょうよ」

50代サラリーマンから家計見直しの相談を受けると、私は基本的にこうアドバイスするようにしている。

では、死亡保障はどれくらいが妥当なのか?

ベースになるのは、奥さんが1人になったとき必要になる生活費だ。しかしサラリーマン本人が死亡すると、遺族には生命保険金以外に次のような収入がある。実際にはその分を差し引いた不足額を基準にする。

たとえば「死亡退職金」として、その時点での退職金が出る。さらに会社負担で団体生命保険に加入しているケースでは、おおむね500万~ 1000万円を上乗せした額が会社から支払われる。

また、持ち家の場合、住宅ローンの残額があっても債務者本人が死亡すれば団体信用生命保険(団信)が肩代わりしてくれるので、遺族はローンの支払いに頭を悩ませることはない。奥さん本人の年金や遺族厚生年金なども期待できるので、月々の不足額は10万円くらいというのが標準的な額だろう。年間では120万円。20年分として死亡保障は2400万円、多少余裕を持たせて2500万円というところ。定年後なら1000万~1500万円もあれば十分だ。

仮にそれまでの死亡保障が5000万円だとすると、月々の支払いは加入年齢によっては3万円を超える。これを半額の2500万円に減額すれば、毎月の掛け金もおおよそ4割程度安くなる。その分、貯蓄や投資に回す余裕が出てくるのだ。