「老後の暮らしが厳しいというけれど、サラリーマンには厚生年金も出るんだし、なんとかなるんじゃないの?」

そう思っている人は意外と多いのではないか。

年金月額20万円の家計バランス
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年金月額20万円の家計バランス

本当になんとかなるのかどうか、公的年金での生活をイメージするためにつくったのが右の表だ。

社会保険庁によると、平成18年度に厚生年金を受け取っている男性の平均額は月額18万円台。夫がずっとサラリーマンで妻が専業主婦という家庭では、妻の年金と合わせて20万円台前半というのが平均的な額になる。厚生労働省が発表している「モデル年金プラン」でも、夫がずっとサラリーマン、妻がずっと専業主婦というモデルで年金月額23.3万円という数字が示されている。年金からは所得税も引かれるので、手取り額20万円として生活プランを立ててみた。まずは、表の数字をじっくりと見てほしい。

「夫小遣い2万円かぁ……」

それだけしか感じない? それではやはり、老後の生活は厳しいかもしれない。「家計は妻に任せきりで、生活費のことなどサッパリわからん!」という人も、年金生活になったら2人で協力し合って生活を引き締めていかないと、せっかく貯めた蓄えもあっという間に消えてしまうだろう。

ここで、まず注目したいのが「食費」。年金月額20万円の場合、予算は毎月4万円だ。といってもピンとこないかもしれないが、これは1日当たり約1300円の予算。1300円といえば、ちょっと豪華な昼メシを食べて、お茶を飲んだら消える額だ。この金額で1日3食、2人分をまかなう。この中には、米代や醤油、味噌など保存食品代も含まれる。もちろん、自宅で調理するのが前提だ。

次に注目してほしいのが「光熱・水道・通信費」。ガソリン代も含めて予算は2万5000円。携帯電話料金を毎月2万円も払うなんて論外だ。

実は、この予算で特徴的なのは「医療費」の項目を立てていること。若い世代の家計プランではこの項目を入れないが、この年代では予算に入れておく必要がある。医療費は家庭によって全く違うので、それほどかからない場合は予備費にしてもよい。逆に、もっと必要な場合には、老後資金から医療費分を取り分けておくといいだろう。