住宅リフォームは、家を手に入れたときから始まるといっていい。例えば40代半ばで、木造2階建て・延べ床面積99平方メートルの住宅を新築したとする。それをピカピカの状態で長く保つには、30年間を目途とした、5年ごとの長期リフォーム計画が理想的だ。必要な工事は築後の経過年数で決まる。

俗に、リフォームは「塗装に始まり、塗装に終わる」といわれる。5年目で外装木部の塗装。10年目では壁全体も塗り直す。内装・床下の改修はおおむね15年目、雨どい・サッシ・ガラスは25年目と考える。これらの工事は、住宅の性能維持には不可欠である。マンションの場合、外装がいらないので、スタートは内装からでいい。

もう一つ、家族のライフサイクルに合わせたリフォームがある。例えば、新築当時は小さかった子どもが思春期を迎える頃になれば、個室を造作するといったニーズも出てくる。15年、20年目には水回り工事も必要になってくるはずだ。さらに、自分自身も60歳が間近になれば、バリアフリーの工事も必要になる。

当然、そのためには費用を貯めておかなければならない。誰しも「リフォームだから、いやリフォームだからこそ、少ない予算で済ませたい」と考える。しかし、低予算にこだわると「安リフォームの銭失い」になりかねない。良い工事には「適正価格」があると認識すべきだ。

総額は、30年で平均1500万円になる。私の経験から言えば、この価格から20~30%を割り引いたものが適正価格。最近流行の防犯・断熱サッシなどを選択すると、さらに費用はかさむ。住宅の新築価格を約2000万円と想定しているから、ほぼ新築と同じ金額になってしまう。