圧倒的に数の少ない適正業者を見つける方法

Tさんの相談を受けた代表の山川氏は「早速Tさん宅に出向き、床下等を拝見し、見積書も点検しました。彼らのやり方は、必要のないものを取り付け、市販の10倍もの料金を請求することです。Tさん宅の換気扇は何の意味もなく、調湿剤は地面の水分を吸って、ぐちゃぐちゃでした」と、憤りながら振り返る。

山川氏は、聞き取った施工の経過と常識的な工務店の見積もりを書いてTさんに手渡し、渋谷区の消費者センターに相談することをアドバイスした。何度も交渉を重ね、一番大きな工事をした会社からは、被害総額の40%ほどを取り戻せたが、Tさんの気持ちは晴れないままだ。

「こうした悪徳・悪質業者は、決していなくなりません」と、山川氏は話す。その対策としては、訪問してくる業者は、玄関先できっぱり断ること。万が一、上がり込まれても、絶対に自分一人で契約を決めないこと。家族や知人などできるだけ多くの人に相談することが被害にあわないコツだという。

確かに、圧倒的に数の少ない良心的な業者を見つけるのはむずかしい。しかし、こまめに情報を集め、メーカーのショールームにも足を運ぶといった努力がリフォームを成功に導く。山川氏は「業者が決まり、見積書や施工計画書が出たときには、建築OBなど“プロの眼”を活用することも大事です」と語る。

被害にあったTさんだが、その後も続々と詐欺業者が訪れるという。

「おそらく一度悪徳な業者に引っかかると、玄関のどこかに目印のようなものを付けられるのでしょう。それを見た犯罪者の仲間が私を狙って押し寄せてくるのです」。

(文・構成=岡村繁雄)