北朝鮮“精鋭部隊”、派兵の1~3割弱がすでに死傷か

北朝鮮がウクライナ戦争に派遣した「精鋭部隊」に、失態が目立つ。

ロシア軍の友軍を誤射する事態が報じられたほか、近代兵器を用いた戦闘に対応できず格好の標的となり、死傷者数はすでに派遣済み兵士数の1割から3割弱に達している模様だ。基本的なロシア語さえ満足に話すことができず、むしろロシア軍の作戦遂行を阻害している問題がある。

アメリカ防総省によると、ウクライナと国境を接するロシアのクルスク州に、約1万人の北朝鮮軍部隊が駐留している。アメリカ防総省報道官のパット・ライダー空軍少将は記者会見で、「現時点でロシア国内の北朝鮮軍は1万1000人から1万2000人に達すると推定している」との分析を示した。

これらの兵士は、単純に数を補う性質のものだという。ライダー報道官は、ロシア軍の戦死者を補充するものだとの味方を示している。ライダー氏は、「オースティン国防長官が先週言及した、ロシア軍の甚大な損害を補うために北朝鮮軍が派遣されているというのは、妥当な見方だろう」と述べた上で、「私なら北朝鮮軍の兵士としてあの地にいたくはない」と手厳しい私見を加えた。

北朝鮮の兵士は脅威なのか…専門家の見解割れる

派遣された兵士たちは、果たしてウクライナの脅威となるのか。英BBCは、北朝鮮軍の強さと脆さの両面を伝えている。

記事は、北朝鮮軍は128万人の現役兵士を抱える世界有数の軍事大国だと指摘する。今回の派遣部隊の主力は、特殊作戦を担う精鋭・第11軍団、通称「ストーム部隊」の出身者たちだ。韓国とアメリカの情報機関によると、この部隊は通常、浸透工作や、インフラ破壊、暗殺などの訓練を受けているとされる。

部隊の能力について、米シンクタンクの専門家らは相反する評価を示している。スティムソンセンターの北朝鮮専門家マイケル・マッデン氏が「戦闘経験こそ不足しているものの、肉体的・精神的な耐性で補っている」と評価する一方、戦略国際問題研究所のマーク・キャンシアン氏は「思想教育は徹底されているが、即応性に欠ける」との立場だ。

2017年4月15日、北朝鮮の創始者、金日成主席の105回目の誕生日を祝う軍事パレード中の兵士たち。
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
2017年4月15日、北朝鮮の創始者、金日成主席の105回目の誕生日を祝う軍事パレード中の兵士たち。

現在、北朝鮮軍はロシア・ウクライナ国境のクルスク地域で歩兵として活動している。専門家らは、ロシア語の壁やロシア軍の装備に不慣れであることから、本来の専門任務を逸れ、土木技術や建設作業での活動要員とされている可能性があると指摘する。精鋭部隊とはいえ、言語障壁や戦闘装備の違いに阻まれ、能力を発揮していない状況が想定されるという。