消耗戦の“捨て駒”として利用されている
こうした制限により、北朝鮮兵の死傷者数は膨れ上がっている。英ガーディアン紙によると、ウクライナ戦争を分析する韓国軍統合参謀本部は、「ウクライナ軍との戦闘に最近参加した北朝鮮軍の死傷者数が約1100人に達した」と明らかにした。
韓国与党「国民の力」の李成権議員は、韓国情報機関による情報をもとに、死傷者が多数に上る背景を説明している。「北朝鮮軍は不慣れな戦場環境で消耗戦用の前線突撃部隊として使用され、ドローン攻撃への対抗能力も不足している」ことが主な原因だという。犠牲者は下級兵士に留まらず、「少なくとも将軍級の高位の将官も犠牲になっている」という。
ウクライナ側は、さらに犠牲者数が大きいとの認識を示している。キーウ・インディペンデント紙によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は12月23日、テレグラムで声明を発表し、ロシアのクルスク州で戦闘に参加する北朝鮮軍の死傷者が3000人を超えたことを明らかにした。ウクライナの情報機関からの報告に基づく数字だという。事実ならば、ウクライナに派遣された北朝鮮兵のうち、3割弱がすでに死傷した計算だ。
北朝鮮兵による誤射で味方8人が死亡
言語の壁は、友軍誤射に発展した。北朝鮮兵が味方のロシア軍を誤って攻撃し、死亡する事態が発生している。
米フォックス・ニュースなどが報じたところによると、チェチェン共和国のラムザン・カディロフ指導者が率いる準軍事組織、アフマト特殊部隊の車両が北朝鮮軍の誤射を受け、8人の兵士が死亡した模様だ。
ウクライナ国防情報局(DIU)の発表によると、現在北朝鮮の部隊は、ロシア軍の海兵隊や空挺部隊と共にクルスク州で作戦行動を展開している。しかし、両軍の連携には重大な課題があるようだ。DIUは「戦場での北朝鮮軍の投入において、言語の壁により作戦行動の管理に支障が生じ、調整の妨げともなっている」と発表している。
DIUは「この言語の問題により、北朝鮮の兵士たちがアフマト大隊の車両に『友軍射撃』を行うに至った」と述べている。ロシア軍と北朝鮮軍の連携における深刻な課題を浮き彫りにした形だ。
たやすくドローンの標的に…ロシア兵と共に200人死亡
友軍誤射だけでなく、北朝鮮の兵士自身も続々と倒れている。近代兵器を用いた戦闘経験に乏しく、ウクライナ軍の自爆ドローンの格好の標的となっている。
ロシア・クルスク地域で北朝鮮兵士の死傷者が発生した戦闘について、ウクライナ軍が映像を公開したと、アメリカ政府が出資するラジオ放送局のラジオ・フリー・アジアが報じている。