引っこみ思案、いつも不安、一人でいたい……。そういう内向型の人は、社会では落ちこぼれなのだろうか。そんなことはない。対人恐怖症で、抗うつ薬が手放せないというモラ・アーロンズ=ミリは、マーケティング会社の経営者としてオバマ元大統領やビル・ゲイツ財団を顧客にもつ。モラは「内向型は仕事上の素晴らしい才能になりえる」と話す。その理由とは――。

※本稿は、モラ・アーロンズ=ミリ『内向型のままでも成功できる仕事術』(宮垣明子訳、辰巳出版)の一部を再編集したものです。

成功者は外向的なスーパースターではない

成功するためには必ずこうしなくてはならない、と一般的に考えられていることは、多くがムダで、逆効果ですらある。わたしは成功をおさめた企業家や経営者など150人以上にインタビューしてきたが、いつもやる気まんまんなんていう人はいないし、みなが想像するような外向的なスーパースターでもなかった。

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ある新規メディアのCEOは、アップした動画の再生回数が1億を超えるような女性だが、一人も知り合いがいない部屋にいるととても不安になると話していた。「一気に、人見知りの中学生モードに入ってしまうの」と。

もちろん、わたしも。わたしは生まれた時から引きこもりで極度の人見知り、おうち大好きで、会議室で営業トークをしているくらいなら、子どもたちやネコと一緒にキッチンにいる方がはるかにいいと思っている。販売促進会議やスピーチも怖くて、終わればもうヘトヘト。

クライアントになってくれそうな相手に会いに行ったり、地方で講演したりするのに飛行機に乗る時には、不安のあまりいつのまにか抗うつ薬を飲みすぎている。SNSのフィードはできるだけ少なくし、自分で対処できるぶんだけにしている。それでもわたしは事業を成功させているし、社内で一番の売り上げを誇っている。

成功したビジネスマンのふりをするために自分をごまかす方法を、わたしは「トイレに隠れる」と言っている。本当のところ、わたしはずっと隠れていたい。できるだけ家から出たくもない。でもどれほどネットの力を使っても、それだけでビジネスにはならない。だから専門家の集まりやクライアントとの会議の間だけは、不安や人見知りを抑えるためにありとあらゆる作戦を使う。どうにかごまかして乗りきったら、家でゆっくり充電する時間を取って自分を取り戻し、また仕事をするのだ。