いい習慣は続かないのに、悪い習慣はやめられない。そんな悩みの奥底に隠れている「大問題」を突き止めれば、生き方や働き方はもっとラクになる。目には見えない自分のココロを読み解く方法とは――。

なぜ「飲み過ぎ」「英語学習」「早起き」ができないのか?

「お酒がやめられない」「英語の勉強が続かない」「早起きができない」……。

習慣化コンサルタントとして、ビジネスパーソンのこのような「続かない」「やめられない」という悩みを掘り下げていくと、表向きの問題の下に、さらに巨大な問題が見つかることがあります。

私はこれを「クリティカル・イシュー(決定的な問題)」と呼んでいます。実は、これを見抜かなければ、「習慣化できない」という現状は変わらないことが多いのです。

今回は、「禁酒」「英語学習」「早起き」をしようとするのに、実行できない、長続きしないというクライアントへのコンサルティングの実例をもとに、心の深層を探ることの大切さをご説明します。

酒を大量に飲む人の「根本的な原因」とは何か?

ケース1:「お酒を飲み過ぎてしまう」
Aさん(40代・男性・営業)の悩み

●悩みの声

「毎週木曜か金曜、友人や同僚と『お疲れさん会』と称して街へ繰り出すのですが、ほぼ毎回記憶をなくすまで飲んでしまうんです。先週も飲み会の後、自宅とは全く逆方向の電車に乗って寝てしまい気がついたら大宮駅で……。自宅は横浜なので、結局カプセルホテルに泊まりました。また、先月は記憶をなくして家の近くの電信柱につかまって倒れていたらしく、警察官に保護されました。この一件で、妻から禁酒を言い渡されています」

◎筆者の解説

Aさんのような失敗は誰にも1度や2度は経験があるかもしれません。しかし、さすがに毎週のようにやってはいけません。体に毒です。

「なぜ、飲み過ぎてしまうのでしょうか?」。この問題を深堀りしていくと、Aさんは少し考えて「仕事でストレスがたまっている」と答えました。ストレスの原因はいろいろですが、一番大きいのは「上司との人間関係」にあるようでした。多くのビジネスパーソンに心当たりがある話でしょう。

Aさんによれば上司から依頼される仕事は、納期が短いわりに完璧な質を求められる。結局、納期が遅れたり、求められる質を下回ったりすることがあり、上司から叱責されることが多いとのこと。