なぜ、『7つの習慣』を読んでも習慣化できないのか?
1989年に発行されたスティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』(キングベアー出版)は「自己啓発本」の名著のひとつです。販売部数はマンガ版を含めると国内で200万部近く。私も愛読者のひとりで、同書の1つの言葉を座右の銘にしています。
「生まれる前より、より良い世界にしてこの世を去る」
余韻のある言葉です。とても良質な本ですし、これほど普遍的・本質的な人生成功哲学本はありません。ただ、同書は500ページ以上あるので、最後まで読み切ったという人は案外少ないかもしれません。また、実際に「習慣化できた」という人はどれほどいるでしょうか。
今回は習慣化コンサルタントとして、なぜ、7つの習慣が習慣化できないのか? というテーマで考察してみたいと思います。
▼「7つの習慣」は生き方の習慣
『7つの習慣』は、次の7つの章立てで構成されています。
習慣1:主体性を発揮する
習慣2:目的を持って始める
習慣3:重要事項を優先する
習慣4:winwinで考える
習慣5:理解して理解される
習慣6:相乗効果を発揮する
習慣7:刃を研ぐ
一方、私自身は、習慣というものを次の3つに定義しています。
(1)行動習慣……日記、片づけ、家計簿など
習慣化するのに必要な期間1カ月
(2)身体習慣……禁煙・禁酒・ジョギングなど
習慣化するのに必要な期間3カ月
(3)思考習慣……ポジティブ思考、論理的思考など
習慣化するのに必要な期間6カ月
先ほどのコヴィーの『7つの習慣』の項目を見ると、全体的に私の定義する習慣の(3)思考習慣に該当しそうですが、実際によく読むとちょっと違います。『7つの習慣』は、ネガティブ思考からポジティブ思考への切り替えといった、よりよい思考習慣のススメというより、「7つの生き方・心の姿勢」を貫いていこうという提案が主です。具体的に見ていきましょう。