分裂SMAPに思う、ビジネスの栄枯盛衰

昨年の大晦日をもって解散したSMAP。熱烈なファンを多数抱えながらも、事務所も絡んだメンバーの対立・分裂騒動はいろんな意味で考えさせられた。

企業の経営に置き換えると、「SMAP」という事業はいまだに市場のニーズも高く、確実な売り上げを確保できる「成熟期」にあった。

にもかかわらず、内紛で事業撤退を余儀なくされたことはジャニーズ事務所にとって大きな痛手であることは間違いない。

一般に、新たに生み出された事業や製品は、導入期・黎明期を経て、成長期・成熟期・飽和期・衰退期をたどることはよく知られている。

だが、すべての製品が同じ道をたどるわけではない。成長期を待たずに消えていく製品もある。

ハイテク産業の製品のライフサイクルモデルにキャズム(深い溝、谷)理論というものがある。製品を出すと最初はオタク系のディープユーザーには売れるが、彼らは自分たちでカスタマイズしてしまうために一般ユーザーとの間に“谷”が発生し、製品が売れない。

そこでいかに使ってもらうかを創意工夫し、谷を渡ることができれば爆発的に売れ出し、あらゆるユーザーにも浸透。成熟期を迎え、やがて飽和期を経て衰退期に至るというものだ。

SMAPの場合も91年のデビューから3年余りはさほど売れなかった。

だが、従来のアイドルの前例を破ったバラエティやドラマ出演、司会業への挑戦をきっかけに人気が急上昇し、国民的スーパースターにのし上がった。その谷を乗り越える戦略を考え、実行したのが昨年事務所を退社した飯島三智元チーフマネージャーだったとされる。